GitHubを業務に導入する際、「Teamで十分なのか、それともEnterpriseが必要なのか」で迷う企業は少なくありません。
特に、パートナー企業やSIerからEnterpriseを勧められた場合、その背景や前提を十分に理解しないまま導入してしまうと、コストや運用負荷が実態に見合わないケースもあります。
本記事では、GitHubのプラン体系を整理したうえで、TeamとEnterpriseの違いを
セキュリティ・価格・サポート・導入形態・GitHub Actions・容量・アップデート頻度といった実務視点から解説します。
20名規模で専任のインフラ担当を置くのが難しい企業が、現実的かつ安全にGitHubを導入するための判断軸を提供することを目的としています。
GitHubのプラン体系を整理する
GitHubには、公式に以下の4つのプランがあります。
- Free
- Pro
- Team
- Enterprise
このうち、業務で組織的に利用する前提で考えると、現実的な選択肢は Team または Enterprise です。
FreeやProは個人利用を主眼としており、
会社単位での権限管理や請求管理には向いていません。
Organizationとは何か(GitHub利用の前提知識)
GitHubを業務で利用する際の基礎となるのが Organization です。
Organizationは、会社やチーム単位で
- リポジトリ
- メンバー
- 権限
- 請求
を一元管理するための仕組みです。
業務コードを個人アカウントに置くのではなく、
必ずOrganization配下で管理することが、安全で継続的な運用の前提になります。
GitHub Teamとは(中小規模の標準解)
GitHub Teamは、小〜中規模の企業を想定した業務利用向けプランです。
主な特徴
- Organization前提のチーム開発
- チーム・権限管理
- Pull Requestレビュー、ブランチ保護
- GitHub ActionsによるCI/CD
- 完全SaaS(インフラ運用不要)
価格感
- $4 / 人 / 月
- 20名規模で 約 $80 / 月
20名程度のチームであれば、開発に必要な機能はほぼ網羅されており、
コストと機能のバランスが非常に良いプランと言えます。
GitHub Enterpriseとは(統制・監査向け)
GitHub Enterpriseは、大規模組織や厳格な統制が求められる環境向けのプランです。
主な特徴
- 複数Organizationを束ねるEnterprise Account
- 監査ログの取得
- SAML / SCIMによるSSO
- 組織横断のセキュリティポリシー
- Advanced Security(オプション)
価格感
- $21 / 人 / 月
- 20名規模で 約 $420 / 月
Enterpriseは「単純により安全になる」というより、
組織として管理・統制・証跡を残すためのプランと捉えるのが適切です。
TeamとEnterpriseの違い【本質的な比較】
両者の違いは、単なる機能差ではありません。
- Team:現場主導でスムーズに開発するためのプラン
- Enterprise:組織全体を統制・管理するためのプラン
本質的な違いは、セキュリティの強さそのものではなく、統制のレベルにあります。
セキュリティ観点での違い
Teamでも担保されているセキュリティ
GitHub Teamでも、以下の点はGitHub側で標準的に担保されています。
- Privateリポジトリによる非公開管理
- ソースコード・Secretsの暗号化
- GitHub-hosted runnerの分離実行
- Dependabotによる脆弱性通知
通常のWebシステムや業務アプリ開発であれば、
Teamだから危険になるということはありません。
Enterpriseで強化される点
- 監査ログの長期保持
- 組織横断でのセキュリティポリシー強制
- Secret / Code Scanningの高度な統制
ただし、Enterpriseは「導入すれば自動的に安全になる」ものではなく、
設計・運用できる体制があって初めて価値を発揮する点には注意が必要です。
GitHub Actionsの違いと注意点
Teamでも使えるActions
- CI / CDパイプライン構築
- Secrets管理
- OIDCによるクラウド連携
- GitHub-hosted runner利用
CI/CDの基本機能については、
TeamとEnterpriseで大きな差はありません。
Enterpriseで追加される統制
- 利用可能なActionsの制限
- Organization横断ポリシー
- 実行ログの監査
これは、「自由度を下げてでも統制を優先したい」組織向けの機能です。
【補足】GitHub Teamで管理できる容量・規模は十分か
GitHubでは、プランごとに厳密な容量上限があるわけではありませんが、公式に推奨値が示されています。
GitHub公式の目安
- 1リポジトリ:5GB未満(推奨)
- 単一ファイル:100MB以下
- ファイル数:明確な上限なし
これらは Team / Enterprise 共通 です。
20名規模で、毎年2〜3プロジェクトが増え、
各プロジェクトで50〜100程度のソースファイルを管理するケースでも、
テキストベース中心であれば容量面で問題になる可能性は極めて低いと言えます。
重要なのはプラン選択ではなく、
- ビルド成果物をcommitしない
- 大きなバイナリをGitで管理しない
といった運用ルールです。
【補足】GitHubのバージョンアップは頻繁にあるのか
GitHub(Cloud)はSaaSのため、継続的にアップデートされています。
実務への影響
- 利用者側での作業は基本不要
- 後方互換性が重視される
- 既存の運用が突然壊れることはほぼない
UI改善や新機能追加は頻繁に行われますが、
利用は任意であり、強制されることはありません。
※ GitHub Enterprise Server(オンプレミス版)は別で、定期的なアップデート作業が必要です。
導入形態の違い(実務への影響)
GitHub Team
- GitHub公式サイトから直接契約
- 即日利用開始
- インフラ整備不要
GitHub Enterprise
- 要件定義が前提
- ベンダー主導の導入になりやすい
- 設計・運用コストが発生
TeamからEnterpriseへの移行は可能か
TeamからEnterprise(Cloud)への移行は、非破壊アップグレードです。
- ソースコード
- Git履歴
- Issue / Pull Request
はすべて保持されます。
将来の不安だけを理由に、
最初からEnterpriseを選ぶ必要はありません。
まとめ
- GitHubの業務利用では Team / Enterprise が現実的な選択肢
- 20名規模・インフラ整備が難しい環境では GitHub Teamが最適解
- 容量・アップデート頻度もTeamで十分対応可能
- Enterpriseは「統制要件」が明確になってからでも遅くない
まずはTeamで安全に始め、必要になった時点でEnterpriseへ。
これが、最も現実的で失敗しにくいGitHub導入戦略です。


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