ファイル操作やデータベース接続、HTTP通信などを実装していると、「Disposeを書き忘れていた」「なぜかファイルがロックされたままになる」といった経験はないでしょうか。
C#のusing文は、そうしたリソース解放のミスを防ぐための言語機能です。
一方で、「とりあえずusingを付けている」「何が起きているのかはよく分からない」という状態のまま使われがちなのも事実です。
本記事では、名前空間指定ではないusing文に焦点を当て、基本的な考え方から内部動作、C# 8以降の新しい書き方、実務での注意点までを初心者〜中級者向けに整理します。
「なぜusingを書くのか」「どこまでusingすべきか」を理解し、意図を持って使えるようになることをゴールとします。
using文とは何か(名前空間との違い)
この章では、using文の役割を整理し、「なぜ混乱しやすいのか」を明確にします。
usingには2つの意味がある
C#のusingには、まったく異なる2つの用途があります。
- 名前空間をインポートするための
using - リソース管理のためのusing文(今回の主題)
using System.IO;// 名前空間のusing
using (var stream =new FileStream(path, FileMode.Open))
{
// リソース管理のusing
}
どちらも同じusingというキーワードを使いますが、役割は完全に別物です。
リソース管理としてのusing文の役割
リソース管理用のusing文は、次の目的を持っています。
IDisposableを実装したオブジェクトを安全に扱う- スコープ終了時に必ず
Dispose()を呼び出す - 例外が発生しても後始末を保証する
つまりusing文は、
「Disposeの呼び忘れを防ぐための仕組み」
と考えると理解しやすくなります。
using文の内部動作とtry-finally構造
この章では、「usingを書くと何が起きているのか」をコードレベルで理解します。
基本的なusing文
using (var stream =new FileStream(path, FileMode.Open))
{
// ファイル読み取り処理
}
一見するとシンプルですが、実際にはコンパイラによって別の形に変換されています。
コンパイラによる展開イメージ
上記のusing文は、概念的には次のコードと等価です。
var stream =new FileStream(path, FileMode.Open);
try
{
// ファイル読み取り処理
}
finally
{
if (stream !=null)
{
stream.Dispose();
}
}
ここが重要なポイントです ✅
- 例外が発生しても
finallyは必ず実行される Dispose()の呼び忘れが起きない- GC(ガベージコレクション)に依存しない
つまりusing文は、
「安全なtry-finallyを書くための構文糖衣」
だと理解すると腑に落ちます。
IDisposableとusingの関係
この章では、「なぜusingが必要なのか」をIDisposableの観点から説明します。
using文が使える条件
using文を使えるのは、次の条件を満たす型だけです。
IDisposableインターフェイスを実装していること
publicinterfaceIDisposable
{
voidDispose();
}
IDisposableが存在する理由
.NETにはGCがありますが、すべてをGC任せにはできません。
たとえば次のようなリソースです。
- ファイルハンドル
- ソケット
- データベース接続
- OSレベルのリソース
これらは、
- 「いつ解放されるか分からない」
- 「すぐに解放しないと問題になる」
という性質を持っています。
IDisposableの役割
IDisposableは、次のために存在します。
- アンマネージドリソースの明示的な解放
- 「このタイミングで後始末してほしい」という意思表示
using文は、そのDispose()呼び出しを確実に実行するための仕組みです。
C# 8以降のusing宣言(using declaration)
この章では、比較的新しい書き方であるusing宣言を解説します。
using宣言とは何か
C# 8.0以降では、次のような書き方が可能になりました。
usingvar stream =new FileStream(path, FileMode.Open);
// ここでstreamを使用する処理
// メソッド(またはスコープ)の末尾でDisposeされる
従来のusing文との違い
{}ブロックが不要- スコープの終端で自動的にDisposeされる
- ネストが深くなりにくい
特に、複数のusingが並ぶ処理では可読性が大きく向上します。
usingvar reader =new StreamReader(path);
usingvar writer =new StreamWriter(outputPath);
// 読み書き処理
使い分けの目安
- 短い処理・明確なスコープ → 従来のusing文
- メソッド全体で使うリソース → using宣言
どちらが正解というより、意図が伝わる方を選ぶことが重要です。
using文を使う際の注意点・アンチパターン
この章では、実務でよくある落とし穴を整理します。
注意点 ✅
- usingのスコープを誤ると、Dispose後のオブジェクトに触れてしまう
- ライフサイクルが外部管理されている場合、勝手にDisposeすると問題になる
よくあるアンチパターン
❌ using内で生成したオブジェクトを戻り値として返す
using (var stream =new FileStream(path, FileMode.Open))
{
return stream;// Dispose済み
}
❌ HttpClientを毎回usingで生成する
using (var client =new HttpClient())
{
// 通信
}
HttpClientは内部で接続を再利用するため、
使い捨てにすると逆にパフォーマンス問題を引き起こします。
設計として考えるべき視点
- このオブジェクトの寿命はどこまでか
- 誰がDisposeの責任を持つのか
- DIコンテナと役割が衝突していないか
usingは便利ですが、設計判断を代替するものではありません。
まとめ
C#のusing文は、IDisposableを実装したオブジェクトを安全かつ確実に後始末するための言語機能です。
内部的にはtry-finallyに展開され、例外が発生してもDispose()が必ず呼び出されます。
さらに、C# 8以降のusing宣言を使えば、コードを簡潔に保ちながらリソース管理が可能になります。
重要なのは、「とりあえずusingを書く」ことではなく、
- なぜここで解放するのか
- このスコープで正しいのか
を意識することです。
usingを仕組みとして理解した上で使い分けることで、
より安全で読みやすいC#コードを書けるようになります。


コメント