GitLabをソースコードのホスティングだけに使っていませんか?GitLabはCI/CD、セキュリティスキャン、プロジェクト管理、コンテナレジストリなど、開発工程を一元化できる多彩な機能を備えたDevOpsプラットフォームです。
本記事では、現場で即活用できるGitLabのおすすめ機能を10個厳選し、具体的な活用シーンやメリットとともに紹介します。GitLab初心者からステップアップしたい中小規模チームのエンジニアに特におすすめです。
※各機能の「活用のヒント」では、導入ステップの具体例を提示しています。
開発自動化・CI/CD関連
1. GitLab CI/CD:パイプラインによる自動化
対象読者:CI/CD未導入の開発チーム
開発フローを効率化する上で最も基本となる機能です。.gitlab-ci.yml
によってビルド、テスト、デプロイを自動化できます。
(ASP.NET MVCの例)
stages:
- build
- test
- deploy
build_job:
stage: build
script:
- dotnet restore
- dotnet build
test_job:
stage: test
script:
- dotnet test
deploy_job:
stage: deploy
script:
- ./deploy.sh
only:
- main
💡 活用のヒント:まずは「テストだけ」のジョブから始めると導入しやすく、失敗も少なく済みます。

2. Auto DevOps:ゼロからの自動パイプライン構築
対象読者:CI/CDに慣れていないチーム
テンプレートベースでCI/CDが自動生成され、ビルド・テスト・セキュリティスキャン・デプロイまで一括で実行されます。
💡 活用のヒント:初めてのCI/CD導入には最適。ただし、細かい調整が必要な場合は手動でのカスタマイズへ切り替えましょう。
3. Container Registry:イメージの一元管理
対象読者:DockerイメージをGitLabで管理したいチーム
GitLab内でDockerイメージのPush/Pullを一元管理でき、CI/CDと連携も可能です。
(ASP.NET MVCの例)
docker build -t registry.gitlab.com/your/project:latest .
docker push registry.gitlab.com/your/project:latest
💡 活用のヒント:外部サービスに依存せず、セキュアにイメージを管理したいときにおすすめです。
4. SAST/DASTなどのセキュリティ統合機能
対象読者:DevSecOpsを実践したいチーム
脆弱性の静的解析(SAST)・動的解析(DAST)をCI/CDの流れに自然に組み込めます。
(ASP.NET MVCの例)
include:
- template: Security/SAST.gitlab-ci.yml
💡 活用のヒント:Issueとして脆弱性を自動生成し、セキュリティタスクのトラッキングも可能です。
タスク・課題管理関連
5. Issueとマイルストーンによるタスク管理
対象読者:Jiraなど外部ツールを使わずに管理したいチーム
バグ、改善要望、タスクの管理が可能です。Markdown記法で読みやすく、マイルストーンで進捗管理も簡単です。
(ASP.NET MVCの例)
git commit -m "Fix bug in login page. Closes #101"
💡 活用のヒント:すべての作業をIssue化し、MRやコミットとリンクさせる運用を心がけると管理が簡潔になります。

6. GitLab Boardsでの視覚的タスク管理
対象読者:スクラムやかんばんで運用したいチーム
ボードを活用すればタスクの進行状況を「見える化」できます。カラムは自由に追加でき、WIP制限などの工夫で生産性を高められます。
💡 活用のヒント:定期的にマイルストーン単位でボードを整理し、無駄なラベルやカラムを減らすと管理が長続きします。
コードレビュー・コラボレーション関連
7. Merge Requestとレビュー支援機能
対象読者:チームでのコードレビュー体制を整えたい方
変更差分のレビューや承認フローがGitLab上で完結できます。Code OwnerやResolveボタンによりレビュープロセスの可視化が進みます。
💡 活用のヒント:小さなMR単位に分け、コードレビューの効率と精度を両立しましょう。
8. Web IDE:ブラウザ上でのコード編集とコミット
対象読者:ローカル環境が整っていないメンバー
GitLabのWeb IDEで、ちょっとした修正を即時反映可能です。タブ型UIとMRの作成機能も備わっています。
💡 活用のヒント:レビュー時の誤字修正やYAML調整など軽微な作業で特に有効です。
9. Wikiとドキュメント管理
対象読者:チームの設計資料やナレッジをGitLabで管理したい方
設計方針や運用ルールをMarkdown形式で記録できます。履歴管理やバージョン管理も可能。
💡 活用のヒント:構成メモや手順書をWikiに一元化することで、口頭ベースの情報共有から脱却できます。

10. GitLab Pages:静的サイトのホスティング
対象読者:成果物や仕様書を公開したいチーム
GitLab上でHTMLやMarkdownをWebページとして公開可能。CI/CDと連携し、自動デプロイも対応。
(静的HTMLの例)
pages:
stage: deploy
script:
- mkdir .public
- cp README.md .public/index.html
artifacts:
paths:
- .public
only:
- main
💡 活用のヒント:社内向けドキュメントサイトをすぐに立ち上げたい場合に便利です。
機能比較:導入検討の目安
機能名 | メリット | デメリット | 導入しやすさ(★5) | 対象規模 |
---|---|---|---|---|
CI/CD | 自動化で工数削減、品質向上 | 初期設定に慣れが必要 | ★★★★☆ | 小〜大規模 |
Auto DevOps | 導入が簡単、テンプレート完備 | カスタマイズに限界がある | ★★★★★ | 小〜中規模 |
Container Registry | セキュリティとCI統合 | 容量管理が必要 | ★★★☆☆ | 中〜大規模 |
SAST/DAST | セキュリティ対策を自動化 | 有料プラン制限あり | ★★★☆☆ | 中〜大規模 |
Wiki | チーム内情報を一元化 | 階層構造や検索が弱い | ★★★★★ | 全規模対応 |
まとめ:GitLabで開発体制を最適化しよう
GitLabは単なるGitリポジトリのホスティングにとどまらず、開発・運用・セキュリティまでを統合的に支援するプラットフォームです。
🔸 導入ステップ例
- Step1:CI/CDで開発の自動化を始める
- Step2:Merge RequestとIssueでチーム体制を整備
- Step3:RegistryとPagesで成果物を効率管理
- Step4:セキュリティ統合で品質をさらに強化
💡 今すぐできること:
まずは「CI/CD」または「Issue管理」から着手してみましょう。
小さな一歩が、GitLabを“使う”から“使いこなす”開発体制への変化につながります。
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